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日本縦断 141日目北海道 利尻岳登山 | 日本単独歩行記

日本単独歩行記

ただの歩いた記録

日本縦断 141日目
北海道 利尻岳登山

今回の利尻岳登山には鴛泊ルートを使用する。登山口からの標高差が約1500mもあるので、コースタイムもピストンで9時間近い。

このように長時間の行動が予想される場合は、できるだけ早く出発するようにしている。道を間違えたりしてしまった場合、太陽が出ている間にリカバリーできる時間をできるだけ確保するためだ。今回も2時半に起床し、朝食と準備を済ませ、3時半にキャンプ場を出発した。

早朝の天候は曇りで、かなり低い位置に雲がかかっているように見えた。そこまで厚い雲でもなさそうなので、おそらく山の中腹あたりからは雲の上に出そうだ。

登山口までは、両側を深い森に挟まれた約2㎞の車道を歩く。日の出が4時半なのでまだまだ空は暗く、道の両側、森の奥はまだ暗闇に埋もれている。暗闇から何か飛び出してこないか、少しドキドキしながら歩いた。

途中、ヘッドライトに反射する二つ目が見えた。小動物のようだった。逃げる様子はなく、光る二つ目がどんどん近づいてくる。ヘッドライトで照らせる距離まで近づいたので、どんな獣か目を凝らしてみる。

三角の耳が二本立っており、狭い額と小さい鼻が見えた。一瞬ヤマネコかと期待してしまったが、なんてことはない。ただの猫だった。どうりでなかなか逃げないわけだ。

登山口には4時頃に到着した。天候は曇りで、かなり低い位置に雲がかかっている。すでに夜明け待ちの登山者が15名程度待機していた。空はだいぶ明るくなっていたので、トイレと登山届の提出を済ませた後、4時15分に登山道に入った。

登山道に入って少し進むと甘露泉水という湧き水が出ている場所に出会った。すでに水は十分積んでいるので、帰りに飲んでみることにしてそのまま進んだ。

序盤は傾斜の緩い道が続いた。昨日まで雨が降っていたのか、木々の葉っぱからは、しずくがぽたぽたと落ちてくる。道は整備されていて十分歩きやすい。尚、今日は不必要な荷物はテントにデポしてザックが軽いので、最高に気持ちよくスタスタ歩ける。

4合目あたりで低い雲を突き抜け、赤みがかった青空が見えてきた。少し視界が開けたところから下を見下ろすと、見事な雲海が一面にかかっている。昨日予想した天気が見事に的中した。

4合目からは尾根をひたすら登っていく。この辺から傾斜が徐々にきつくなってきた。とはいってもまだまだ序盤なので脚は軽い。そのままのペースで軽快に歩いて行く。

5時半ごろ6合目に到着した。この辺からはまだまだ利尻岳は見えず、手前の長宮山が空までぐーんと伸びている。休憩をとるほどの疲労感もなかったので、そのまま6合目は通り過ぎた。

この時点でかなり汗をかいてしまった。日本最北の百名山なので、真夏でもかなり涼しいが、登山の運動量になればさすがに汗が出る。時折、海から吹き上げてくる風が、ひんやりして気持ちが良い。

長宮山手前の急こう配を登りきりピークに到着すると、突然利尻岳が姿を現した。ほんとうに突然といった感じで現れたので、その空を突き抜くような山容にしばし圧倒されてしまった。

その圧倒的な山容を眺めていると、徐々に素晴らしい山に出会えたことの喜びが込み上げてきた。島に到着してから一度も姿を見せてなかったので、なおのこと嬉しかった。もうこのまま下山してもいいかな、と思えるぐらいの素晴らしい景色だった。

少し休憩した後、山頂に向けて出発した。長宮山から山頂に向けての尾根は次第に急峻になっていく。山頂直下は、遠目でみると、とても登れそうなものには見えないぐらいだ。

しかしながら今回はザックが軽い。まだまだ疲労感もなく、景色を楽しみながら最後の登りを楽しむことができた。気持ちよく登山を楽しむ為には、やはり荷物が軽いほうがいいんだなと思った。

山頂直下は、斜面が崩落気味のところもあって気は抜けなかったが、整備は行き届いているので、集中して歩けば問題なく歩ける感じだった。冬場はかなり危険な尾根だろう。

7時半。利尻岳山頂に到着した。山頂には誰もおらず、どうやら一番乗りで到着したようだった。

南側に現在立ち入り禁止になっている本峰とそれに続く稜線が見え、その右側にはローソクのような岩が一本立っている。西側にはアップダウンの激しい沓形ルートの稜線が見える。東側には、2日かけて踏破した天塩から稚内へ続く海岸線がうっすらと見えた。靄がかかっていなければ初山別あたりまで見えたかもしれない。

しばらくその景色をひとりで楽しんだ。鹿児島からずっと歩き繋げてここまで来たわけだが、その実感というのは意外と湧いてこなかった。4か月半前もの間の経験や記憶などを、心がこの瞬間にまとめるのは難しいということだろう。

10分ほど経つと、登山客がちらほらと山頂に到着しだした。素晴らしいお天気なのでみなさん満足そうな表情で景色を楽しんでいた。僕も、その後20分ほどは景色を楽しんでから下山を開始した。

下山時は、ようやく身体の疲れも見え、ほぼコースタイム通りで下山した。登りで追い抜いた登山客には下りで追い抜かれたしまった。途中、野生のシマリスを2匹ほど見かけた。縞模様がきれいでとてもかわいらしかった。

登山口手前の甘露泉水という湧き水場の水を、せっかくなので少し飲んでみた。百名水に選定されているだけあって、雑味のない透き通った味だった。今まで山の中で調達して飲んだ水の中では一番おいしいと思った。

キャンプ場に戻ったあとは、ひとまず温泉に浸かりに出かけた。ここの温泉は湯加減がちょうどよく、外の涼しい空気を浴びながらの露天風呂も最高だ。

温泉の後は、晩飯の調達がてら港まで散歩をした。昨日登らなかった、港近くの展望台にも上ってみた。海面に反射する西日がとてもまぶしく美しかった。先ほど登った利尻岳は、すでに雲に覆われようとしていた。明日は天候が崩れる。

晩飯の調達後、キャンプ場に戻り晩御飯とした。旅最後の登山が終わり、少しほっとした気分になった以外は、いつも通りのテントの夜だった。明日の天候を憂いながら眠りについた。

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