日本単独歩行記

ただの歩いた記録

日本縦断 109、110日目
秋田県にかほ市〜由利本荘〜秋田市

109日目

泊まったキャンプ場に、僕のほか1名がテントを張っており、朝方その人と少しおしゃべりをした。どうやら、僕と同じく歩き旅だそうだ。歩き旅人は、四国のお遍路さん以外では初めて出会った。なんとなく嬉しい気分になった。

その人が出発して少ししたあと、7時過ぎに僕も出発した。もう少しテントでのんびりしようかと思っていたが、午後から天気が崩れそうなのでやむおえず早出となった。

途中、向かいからリアカーを引っ張って歩いてくる人が居た。どう見ても旅人なので、挨拶をして道路越しで少し会話をした。リアカースタイルの旅があるのは知っていたが、日本の狭い道路だとなかなか大変そうに見えた。

それにしても一日に二度も歩き旅人に出会うとは驚きである。やはり海岸線は旅人に会う確率が高い。海岸線は歩いていて気持ちいいから、旅人が多いのだろう。ちなみに山道では、まだ旅人に出会えていない。

4時前に目的地の海岸に着いた。天気も崩れそうだということで人もまばらだった。ちょうどいい具合の東屋があったのでその下にテントを張った。雨夜の海岸なんてどうせ誰も来やしないし、文句は言われまい。

テントを濡らさずに済んだのはよかったが、夜はとても蒸し暑くなりあまり熟睡できなかった。波の音は聴こえず、近くにある風力発電のプロペラの音が、ごうごうと一晩中聞こえてきた。

歩いた距離・28㎞

110日目

今日は一気に秋田市まで抜けた。気持ちよかった海岸線も今日で終わりだ。この山形から秋田までの海岸線はとても素晴らしかった。

この旅でいくつかの海岸線を歩いたが、海岸線には日本らしさを感じる景観が多いなと思った。特に海岸線の過疎地でそう言った景観が多い。建物の作りが日本家屋で統一されているので、そう感じるのだろう。

日本では建物の景観に関する規制が緩いので、みんな各々の好きなデザインで家を建ててしまう。そうすると町の景観はどんどんチグハグな物になって、伝統も文化も感じられない物になってしまう。何より美しくなくなる。

そう言った意味で、海岸線の過疎地には、日本独自の美しい景観がかろうじで残っているわけだ。今後、こういった美しい景色に開発の手が進んで、景観が失われない事を願いたい。

山形〜秋田の海岸線の集落には、木を並べて作った防風壁がよく目立った。おそらく冬場、日本海から吹き付ける冷たい風と雪を防ぐ物だと思われる。今はこの海岸線も穏やかなものだが、冬場はとても厳しいものになるのだろう。

今日は河川敷の公園にテントを張った。明日は、朝から漫画喫茶に逃げ込んで、丸一日休息日とする。さすがに歩かない日も欲しくなった。

歩いた距離・36㎞

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