日本単独歩行記

ただの歩いた記録

日本縦断 100日目
南蔵王縦走 不忘〜屏風〜刈田峠避難小屋

今日は登山口まで15㎞歩いてから、登山道を5時間以上歩く予定だ。これはなかなかのハードスケジュールだ。自分で立てた計画ながら気が重くなる。

早朝4時半に町を出発した。本日宿泊予定の避難小屋付近と登山口には水場が無いため、この時点で水をザックに積まなければならない。コンビニに寄って水を購入、合計4リットルをザックに積んだ。ショルダーハーネスがずっしりと肩に食い込んでくる。

とにかく登山口までは出来るだけ早く着きたかったので、ノンストップで歩いた。途中から霧で視界が悪くなり、霧雨が舞ってきた。

9時過ぎに白石スキー場の登山口に到着。この時点で標高も800メートルほど稼いでいる。フラットな地形を15㎞歩くのとは全く訳が違う。ようするに、すでに結構疲れてしまった。

とは言っても、ここで止まってはいられないので山登りの準備にかかる。登山者の無料休憩所で、登山ウェアに着替え、登山届を記入する。

9時40分、白石スキー場の登山口を出発。視界は効かないので、登山道の踏み跡を外さない様に進んでいく。

不忘山までの登りは、樹林帯の中を一定の斜度を保った道が延々と続く、とても単調なものだった。霧で景色も見えない中でのこの単調さは、面白味がなく地味に辛い。すでに疲れている身体には余計に堪えた。

なんとか頑張って登っていると、標高1600メートルを超えたあたりから視界が良くなった。後ろを振り返ると、雲海が遙か彼方まで地上を覆い尽くしている。人工物など何一つ見えず、なにか夢にでも出てきそうな景色であった。

しかし、ここまで来てすっかり疲れきってしまった。ペースが上がらないので、すでに見え始めた稜線が一向に近づかない。重いザックがやたらと身体をふらつかせる。

12時半、不忘山到着。この辺は森林限界を越えているようで、360度開けた眺望はとても素晴らしかった。ザックを降ろして休憩しながら眺めた。身体に当たる風が、久しぶりに心地よく感じた。

ここから屏風岳までの稜線は割と眺望がきいて、気持ちの良い道が続いていた。体力が充分であれば楽しく歩けるだろう。もっとも、この日に限ってその体力は残ってない。

屏風岳から杉ケ峰までは湿地帯を抜ける。この辺の独特な景観は面白かったが、いかんせん虫が多かった。気を抜いていると、虫ごと息を吸ってしまうぐらい飛んでいた。特に多い箇所では息を止めて通過していたので、酸欠になりそうだった。

そんなこんなで刈田峠の避難小屋に着いたのは、16時ごろだった。トイレが小屋内にあり、丁寧に畳まで敷いている、とても快適な避難小屋だ。

ザックを降ろしたら、早速マットを敷いて横になった。なんとか無事にハードスケジュールをこなせたので、とてもホッとしていた。そのまま30分ほどうたた寝てしまった。

この後は晩御飯を食べて、またすぐ横になった。明日はのんびり起きようと思うのでたくさん寝られるのが嬉しい。

しかし、壁の中にネズミでも居るのか、ガサガサという音が行ったり来たりするのが少し気になる。はたして熟睡できるだろうか。

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