日本縦断 78日目
中房温泉〜燕山荘(燕岳登山)
ついに天気が回復した。ようやく今日から北アルプスに入山だ。
午前中まではまだ雲が多そうなので、朝は少しゆっくりとした。久しぶりに棒ラーメンを食べたが、相変わらず不味かった。それでもカロリーは必要なので2玉を頑張って食べた。
6時50分、中房温泉を出発した。水を4ℓ積んだので、ザックの重量は30㎏近い。この重さになると背負うのも一苦労だ。久しぶりの登山なので、無理が来ないようゆっくりとした足取りで歩き出した。
気温はそこまで高くないが湿度が高かった。ゆっくり歩いていてもじっとりと汗が出てくる。袖口で額の汗をぬぐいながら、黙々と歩いた。
道はしっかりと整備されているので、難儀する事なくスムーズに歩けた。第二ベンチぐらいから気温が程よく下がり、汗を気持ちよく乾かし出した。
ひたすら尾根道を登り、9時25分に合戦小屋に到着。荷揚用のケーブルも動き出しており、カラカラとリズムの良い音が聞こえて来る。ザックを下ろし、ベンチに腰をかけて休憩した。
合戦小屋から燕山荘までは、残雪が張り付いた穏やかな尾根が続く。アイゼンは履かずに通過する事にした。雪が緩いので若干歩きづらい感じだった。
合戦小屋を出てひと登りすると、燕山荘を目視出来た。赤色の屋根に、小豆色の外壁でいかにも山小屋らしい風貌だ。
この辺から雲も開けだす。安曇野方面には、時折雲海も見えた。この時点で標高は2500mを超える。アルプスらしい景観が少しずつ広がってきた。
だいぶ疲れも出てきた。疲れというよりかガソリン切れと言った感じだ。棒ラーメンは量を食べるのが大変なくせに腹持ちが悪い。後少しで燕山荘なので、そのまま歩き続けた。
11時、燕山荘に到着。早速景色を眺める。最初に目に入って来たのが槍ヶ岳。相変わらず存在感の強い山である。
槍ヶ岳から右に目を流す。西鎌尾根〜双六岳〜三俣蓮華〜・・とひたすら続く北アルプスの稜線が目に入ってくる。谷という谷には、まだまだ残雪が引っ付いている。
太陽が残雪を照らしているのか、稜線の奥から豊かな雲が湧き出てくる。雲は次から次へと東へ流れていき、落とす影が山の景色に程よいコントラストを生んでいく。
とにかく圧倒的なスケールを持って、山岳が織り成す造形美がそこにあるわけだった。これが夏に向かって行く北アルプスの景色かあ、としばらく見入ってしまうと同時に、何故か嬉しい気持ちになっていた。
景色を堪能した後は、テント場の受付を済ませてテントを張った。テント場にはしっかりと雪が残っていた。また背中が冷えそうだ。テントでお昼ご飯を食べた後は、山頂まで散歩に出かけた。
燕岳は山頂付近の稜線に、花崗岩が面白い形で生えている。なんともユーモラスな雰囲気で面白い山だ。テント場からは20分程で山頂に着いた。しばらく景色を眺めて、テントに戻った。
夕方は、少し写真を撮りに出かけた。6月といえど、さすがに北アルプスの稜線の夕暮れ時は寒かった。手足がキンキンに冷えて、足踏みか何かしていないと凍えそうだった。
テントに帰ってゆっくりしていたら、雷鳥の鳴き声がした。やたら近いので外を覗いたら、テントの近くをつがいで散歩していた。燕岳でも雷鳥は可愛いかった。
明日は大天井岳を越えて常念小屋まで歩く。大天井岳は夏道が開通してないので、冬道の尾根筋を歩かないと行けないようだ。天気は良さそうなので、焦らずに歩きたいと思う。
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