日本単独歩行記

ただの歩いた記録

日本縦断 73日目
富山県 立山三山縦走

今日の天気予報は一応は晴れ。天気予報を信じ、晴れ間が見えだした8時半にテントを出発した。

15分ほどで、昨日偵察に来た場所まで到達。もう一度登るルートを観察したところ、最初から尾根に取り付いたほうがよさそうだった。横の谷を登って尾根に取り付くのは危険そうだった。

そうと決めたら早速尾根に取り付く。取付きの傾斜がきつく雪も緩かったので、しっかりとステップを切りながら登っていった。ダブルストックでバランスをとっていたが、こういった時にピッケルが必要なんだなと思った。

急坂を登り終えると、後は程よい勾配の尾根を登っていく。谷側の雪面には、切れ目が入っている箇所もあったので、尾根の直上を歩くように心がけた。

尾根を半分ぐらい登った所で霧が出だした。どうやら天気予報は外れたようだった。まあ梅雨どきなのでしょうがない。視界は悪くなったが、尾根を真っ直ぐのルートなので、気負い無く進んだ。

10時頃、稜線に出た。稜線上には雪が残ってなかったので、ここでアイゼンを外した。この辺から雨がぱらつき出し、標高が上がるにつれ霰へと変わった。稜線上は、特に危険箇所も無く歩きやすかった。

天気が悪くなったからか、雷鳥がよく現れた。つがいでとても仲よさそうに歩いているのがいて、とても微笑ましかった。

富士ノ折立〜大汝山を経て、11時10分に雄山直下に到着した。山頂には人影がたくさん見え、割と人がいるみたいだった。

山頂の手前で1人男性とすれ違った。迷彩柄のカッパを着て、軍モノのヘルメットを被っていたので、最初ミリタリーマニアかなんかかなと思った。山頂に着くと、10人ぐらいの男性がいた。

そして、10人みんながさっきの男性と同じ格好をしていた。ミリタリーマニアの集いといっても流石に全員同じ格好は変だなと思った。つまりはリアル自衛隊の様だった。ミリタリーマニアと思ってごめんなさいと思った。

自衛隊が山に登っているのは初めて見た。みんな記念写真とかを撮って、なんとなく楽しそうにしてた。ふっと、この前読んだ八甲田山を思い出した。第五聯隊がこんな感じだったのかなあと、勝手に縁起でもない想像をしてしまった。

この時点で、霰は雪に変わっていた。6月に雪を見るのは初めてだ。今年の冬、九州はあまり雪が降らなかったので、なんとなく嬉しくなった。

この後晴れるまで待とうかと思ったが、天気予報が変わって、午前中雨となっていたので下山する事にした。

14時頃テントに戻ったが、その時もまだ雨が降っていた。やはり梅雨時期の山の天気は自分で判断するしかないなと思った。

夕方になってようやく雲が抜けた。西日が山の斜面に程よいコントラストをつけていた。とても美しい。

登る前と後とでは、同じ山の景色でも違って見える。その山が未知のものなのか、そうでないのかで、自分の心と山との距離感が変わるからだと思う。あの稜線にいた自分を想像しながら、少しの満足感に浸った。

明日は一の越を越えて黒部まで歩こうかと考えていたが、東一の越までの残雪トラバースはさすがにピッケルが無いと危なそうだ。とても残念だが、今回は文明の力に頼るとする。

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