日本単独歩行記

ただの歩いた記録

日本縦断 71日目
富山県富山市〜立山室堂 雷鳥沢

今日は思い切って文明の力を使った。雨が降る前に室堂へ到着したかったからだ。つまりは安全策を取ると言うことだ。

立山駅までは昨日一回歩いているので、ここも電車を使った。立山駅に着いてからは、ケーブルカー、バスと乗り継ぎ、あっという間に室堂へ着いた。

立山駅から室堂までの間を歩けなかったのは、正直不本意だった。登山のいちばん大事な部分を、まるまるすっぽ抜く事になるからだ。これをする事によって登山の喜びや感動の大部分も削がれてしまうからだ。

ただ、今回の条件では立山駅から室堂までを安全に歩き切る自信を持てなかった。いや、自信が持てないと言うよりかは、怖気付いたと言うほうが正しいかもしれない。

この旅で一番標高が高い場所なのに、一番楽に着いてしまった。これにはやはり違和感しか感じなかった。登山の本質からはズレている気がする。

10時前に雷鳥沢のテント場に着いた。テントを張り終えるとほぼ同時に雨が降り出した。気温も予想以上に低く感じる。立山駅から歩いていたら、とても大変な事になっていただろう。安全に歩くという意味では、今回の選択は正しかった。

そんなこんなで心がもやもやしていたが、雷鳥にはとても癒された。雷鳥沢と言うだけあって、そこら中に生息している。のんきそうに雪の上を、ぽこぽこと散歩している。とても可愛らしい。

そんな可愛いらしい雷鳥だが、この雪の多い山で冬を越してしまうから驚きだ。雪の中に埋まったハイマツの中で、寒さをしのぐのだろうか?あの風態からはとても想像出来ないタフさだ。

夕方からは風向きが変わり、晴れ間が広がった。西日が山の斜面を照らしてとても美しい。この前晴れ間が続けばいいが、そう上手くはいかないだろう。

晩御飯を食べて、少し読書をした後、寝袋にくるまった。雪の上だけあって、背中がとてもヒンヤリした。

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