日本縦断 41日目
香川県三豊市〜志々島
今日は目的地の港までたいした距離がないので、少し遠回りして荘内半島の海岸線を歩く事にした。
出発して1時間半ぐらい歩くと海岸線の道路に出た。予想していたより海は青く透きとおっていた。波はほとんどなくとても穏やかな海だ。
海岸線に出てしばらく歩くと父母ケ浜海水浴場というところにでた。海水浴場だが干潮時に干潟になる場所だ。ちょうど着いた頃が干潮時で、ところどころに海水の小池を残し干潟が広がっていた。
干潟には小さな穴がたくさん空いていて、これは全部カニの巣穴のようだ。3〜4m先を見ると小さいカニが気持ち悪いぐらいたむろしていた。しかしそこに近づくと一瞬で巣穴に潜って居なくなってしまう。それが面白いのでしばらくカニを追いかけ回した。
この後は詫間町大浜というところまで行って、半島の反対側まで横切った。ちなみにこの大浜というところは、浦島太郎伝承の土地として有名らしい。本当か嘘か知らんけども。
目的地の手前に「心うどん」といううどん屋があったので入ってみた。今回はぶっかけうどんを頼んだ。大で320円だったのでなかなかお安い。
昨日食べたとこに比べると気持ち麺がしっかりしている気がした。これがコシというものなのだろうか?この辺好みで別れるのかもしれないが、問題なく美味しかった。
食事のあと今晩の食料を調達し、港に向かった。乗り場のベンチには島民と思われる人が数人座っていた。どうやら買い物帰りのようだ。
16時過ぎに船が到着し、乗客が入れ替わったらすぐに出発した。切符は船内の券売機で購入する形だ。夕方の便なので島民以外の人間は僕だけだった。
出発したら後ろにいたおばあちゃんに話しかけられた。会話しながら島のこととかを少し教えてくれた。会話が終わった後は窓から海を眺めた。
15分ほどで志々島に到着した。一緒に降りた島民の人が大楠までの登り口を教えてくれた。蚊が多いとの事なので、ひとまず長ズボンだけ履いた。
大楠にはすぐに到着した。根元付近から両側に伸びた極太の幹が特徴的で、とても生命力の溢れる木である。今にも動き出しそうな感じだ。
この場所は尾根から少し降ったところにあり、大楠の背中側を覆うように山の斜面がまわっている。おそらくこの地形的条件がこの木を守っているのだろう。
ひとつ残念だったのが、枝を支えるために人工的に作った支柱を設置していたこと。これは別に写真を撮るときに邪魔だからという理由で残念に思っているわけではない。
この木を守りたい気持ちもわからんでもないが、それはもう完全に人間のエゴだと思う。いくら素晴らしい木だとしても、必要以上に他の生命に干渉しすぎるのは良くない。枝が折れたとしてもそのままにしておくべきだと思う。人間が人生で失敗することがあるように、木だって成長の仕方を失敗するときもあるだろう。
ほんでもう一つ、この木があと何百年とか千何百年とか生きるかもわからんのに、この木が死ぬまでこの支柱の管理ができるのか非常に疑問だ。人間が先に絶滅してしまっているかもわからんのに。自然を守ろうとか良く聞くが、いったい何様のつもりなんだろうかこの人間って生き物は?っていつも思う。
でもこんな事を言う僕の中にもこの人間特有のエゴとか私欲とかがまみれていると思う。山登りなんてほんと人間の強欲だけがなす所業である。ほんとは眺めるだけで満足してたらいいのにね。
人間の批判をすると、だいたいそのまま自分に対する批判にもなって返ってきてしまう。この自己矛盾のループが深みに入ると厄介な事になるが、たまにこういった思考をすることは大事かもしれない。これをしないと人間の欲求なんて膨らむ一方なのではないだろうか。
今日は展望台の東屋を間借りする。一応島の人の了承は得といた。テントは張れないので風邪をひかないようにせねば。
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