日本単独歩行記

ただの歩いた記録

日本縦断 37日目
石鎚山系縦走4日目 丸山荘〜銅山峰ヒュッテ

この日の事を書く前に昨晩の事を少し。

昨晩はかなり早めに寝ていたが、20時頃に突然テントの外が激しく光った。その光に驚いて目が覚めたかと思うと、次にゴン!ガラガラと雷鳴が響いた。程なくして大粒の雨粒がテントを激しく叩きだした。

山は完全に雷雲に包まれているようだった。次第に風も強く吹きだし、ごうごうと山を駆け上がる音が聞こえてくる。雷もだんだん近づいてくるように感じた。

一瞬山荘に避難しようかとも思ったが、情けないかな恐怖のあまり動くことが出来なかった。寝袋の中でじっと固まり嵐が去るのを待つ事しか出来なかった。相変わらず雷は鳴り続ける。

1時間ぐらいで嵐は去ったが、その間の時間はすごく長く感じた。何もすることもできずただ畏れることしかできない。自然に対する畏怖の念というものはこのようにして生まれるのかもしれない。ほんと雷が当たらなくてよかった。

と、こんな晩を過ごした翌朝は山に入ってから一番冷え込んでいた。山荘の温度計は0℃で止まっている。かなり北風が入ってきてると思われる。

昨日の嵐時の気圧配置が気になったので調べてみる。はるか北海道の先から伸びた寒冷前線がちょうど四国のど真ん中を通ってた。あの時間強烈な北風がどんどん山に当たってたわけだ。そりゃ嵐にもなるし寒くなるわけだ。

今日は行動時間が6時間ぐらいなので、朝はゆっくり準備した。太陽が早く照ってほしかったがなかなか霧が抜けず、テントを片付ける間に手足がキンキンに冷えて痛い。

7時20分に山荘を出発。寒いのでシェルジャケットまで着て歩き出した。昨日の雨で靴の中はビショビショなので足がとても冷たい。

登りだすと次第に雲が抜け出した。北側の斜面の木々には霧氷がついており、かなり冷え込んでいたことがうかがえる。身体もなかなか温まってこない。

チチ山に到着するあたりでようやく身体もあったまってきた。山頂からの景色は今朝も素晴らしかった。霧氷が見れるとは考えてなかったのですごくラッキーだ。

チチ山からシシマイの鼻までは笹原の踏み跡を降っていく。昨晩の雨でぬかるんでいて少々歩きづらかった。笹についた露で再び靴が濡れてくる。

シシマイの鼻からは樹林帯の間を抜けるように登山道がついている。ぬかるんではいるが笹原よりかは幾分歩きやすくなった。この辺はアケボノツツジが咲いていてとても鮮やかだった。

土山越からも樹林帯を歩きやすい登山道が抜けており、特に苦労することもなくツナクリ山に到着した。この山頂はあまり眺望が効かないのですぐに銅山峰ヒュッテに向け降りだした。

この辺りは昔銅がよく取れた土地らしい。沢に転がっている石が金属を含んでいるからか、表面が輝いて美しい。銅山越からツナクリ山方面を見たときの鉢状の地形が印象的だった。

銅山越から20分ちょっと降ると突然銅山峰ヒュッテが現れた。外装の配色が特徴的でとてもメルヘンな感じだ。番をしてるのは84歳のおばあちゃんだ。

ヒュッテでおばあちゃんに挨拶をしてテントを張った。眺望は昨日程ではないが空がよく見えて気持ちの良い場所だ。ヒュッテの前まで行けば、新居浜と瀬戸内海の景色がきれいに見えた。

今日の晩飯は棒ラーメンひと玉のみ。食料がギリギリなので明日は集中して挑みたい。

霧氷で輝くチチ山
霧氷で輝くチチ山

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