日本単独歩行記

ただの歩いた記録

日本縦断 36日目
石鎚山系縦走3日目 瓶ヶ森〜笹ケ峰

昨晩は23時頃まで風が強く霧が出ていたが、写真を撮るため2時過ぎに起きたら風は弱まっていた。空にはちゃんと星が輝いていたので外に出て写真を撮った。

そしてそのまま朝食を食べ、出発の準備をした。今度は朝日を拝みに瓶ヶ森山頂に向かう。山頂には5時前に着いた。

日の出前の景色はとても素晴らしかった。山の合間に向かい吸いこまれるように流れる雲と、日の出前の淡い光に照らされた山脈がとても印象的だった。

しばらく写真を撮った後、今日歩くルートを目視にて確認する。長丁場のルートにはなるが、目的地に続く美しい稜線を見ると楽しみな気持ちになった。

6時前に瓶ヶ森を出発。まずは瓶ヶ森を下り西黒森に向かう。相変わらず気持ちの良い笹原の中を登山道を抜けており、快調に西黒森まで到達した。朝露がすごく足元はビショビショになった。

そのまま休まずにジネンゴの頭まで進む。ジネンゴの頭には7時50分に到着した。道が良いのでなかなかいいペースで歩けた。

ここから伊予富士までは尾根も穏やかで、眺望の良い素晴らしい道だった。伊予富士にかけては、それまで横に通っていた林道も眼下のかなり下の方に落ち、いよいよ山だけの風景になってくる。

9時20分伊予富士到着。

僕の縦走の醍醐味のひとつは山頂から歩いた稜線を振り返ってみることだ。この伊予富士からの振り返った景色は別格だった。

最初に登った堂ケ森から石鎚山、瓶ヶ森、そして伊予富士までの道が一望できる。そしてその道が描くS字のラインがとても美しかった。思わず見入ってしまう。

石鎚山と言えば、天狗岳のそびえ立った鋭い岩峰のイメージしか無かった。おそらく石鎚山にくる人達もあの岩峰を見に来る人がほとんどだろう。

もちろんあの石鎚山頂の景観は見事だと思ったが、それより驚かされているのはこの素晴らしい稜線に続く縦走路だ。今まで歩いたことのある縦走路の中でも一番美しいかもしれない。

当初は日帰りでおわらそうと思っていた石鎚山だが、縦走にして正解だった。その山域の特徴や雰囲気を掴めるのはやはり縦走しかない。

伊予富士を出て桑瀬峠に降りた頃から天気が悪くなった。雨もパラつきだしたのでここでカッパを着た。目の前には寒風山西面の岩壁が冷たくそびえ立っている。

寒風山の登り降りは少々斜面もきつく、少し注意しながら歩いた。山頂は峠から見た山の姿と違い、いたって穏やかだった。

笹ヶ峰最後の登りに差し掛かって、かなり疲れが出てきた。さらに雨も強くなってきて足元も悪い。最後の力を振り絞って、13時半ごろ笹ヶ峰に登頂した。濃霧でほとんど何も見えなかった。

そこから丸山荘まで降り、カッパを脱いでテント場の受付に行った。建物は古く校舎のようだった。

山荘は80代の老夫婦が番をしておりとても優しい人だった。缶ビールを2本お願いすると、おまけで熱燗をコップ一杯サービスしてくれた。雨に濡れた身体には暖かく沁みる一杯だった。

テントを張ったあとしばらく山荘の主人と山の話をして、晩御飯を食べてのんびりした。明日はそこまで長い道ではないが夕方ごろ少し早めに就寝した。山の霧はまだまだ深い。

伊予富士から振り返った縦走路
伊予富士から振り返った縦走路

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