日本単独歩行記

ただの歩いた記録

傾山(大分県・豊後大野)
2019年2月12日

前回傾山に訪れたのは2018年の7月ごろ。夏時期ということで、蒸し暑さと虫の多さにかなり苦心した(おそらく祖母・傾・大崩あたりどこに行っても夏は同じような感じであろう) 。その時、夏時期の傾山はもうご勘弁と思ったが、山自体の景観は素晴らしいものがあるので涼しい時期にもう一度登ろうと思っていた。

今回は冬時期の傾山登山である。

登山概要

行程

  • 九折登山口(371m) 7・20
  • 林道出会(590m)8・15
  • 三ッ尾(1164m)9・45
  • 傾山(1602m)13・10
  • 九折越(1266m)14・37
  • 林道出会(898m)15・20
  • 九折登山口(371m)17・25
※この日はトレーニング目的で20㎏のザックを装備していたため、歩行ペースは遅め。

天候

  • 天気・晴れ
  • 気温・2~0度
  • 風・静穏

九折登山口からは傾山に向けて二つルートある。今回は登りで三ッ尾ルート、下りで九折越ルートを使用した。全体的に見て危険個所の多いルートだと感じる。特に 山頂付近、三ッ坊側を通れば滑落のリスク、水場側は道迷いのリスクが大きくなる。

行程詳細

九折登山口~観音滝~林道出会

所要時間0・55(CT0・50)

登山口を出発すると早速、登山道までの車道が一部崩落している。ここは西側の斜面を高巻きして越えていく。割と危ないので気が抜けない。横の川に道路を作るため?の工事をしているようだったのでそのうちそこを通れるようになるかもしれない。

車道はすぐ終わり、今度は歩きやすい歩道を歩く。しばらく歩くと、沢を渡る橋が現れるのでこれで反対側に渡る。ここから本格的な登山道へと入っていく。

林道出会までの登山道は山の斜面を横切っていく形で続くのだが、ここがなかなか気を抜けなかった。道は荒れており、この週は雨も降ったのでそれなりにぬかるんでいる。さらに斜面のこう配が急なので転倒はできない。下手な転び方をすれば滑落してしまう。

途中、観音滝が見えてくる。落差約70メートルの滝でなかなか壮観であるが、その滝つぼ上部の急な斜面を歩いているわけなのでまったく落ち着かない。滝上部の沢を渡渉して、少し登れば林道に出会う。

林道出会~三ッ尾

所要時間1・30(CT1・20)

ここから尾根に取りつきひたすら標高を上げていく。この尾根は特に危険な個所はないので安心して登れる。暖冬の影響で気温が高い為、登っていると結構汗をかいた。厳冬期に登山をしているという感じが全くしない。

標高900メートル付近で巨岩が現れる。祖母~傾山系は巨岩が多く、それこそ傾山なんて岩の塊である。この辺の山域の特徴であり魅力を感じる部分である。

標高1000メートル付近にきてようやく空気がひんやりしてきた。霰もちらほら地面に落ちている。三ッ尾に到着すると、霰で地面は真っ白になり、上を見ると木々についた霧氷が光をあびて美しく輝いていた。

三ッ尾~傾山(水場側ルート)

所要時間3・25(CT2・00)

三ッ尾を過ぎた後も歩きやすい尾根が分岐まで続く。分岐でルートが三ッ坊ルートと水場側のルートに分かれる。三ッ坊ルートは傾山の主尾根をゆくルートで水場側は主尾根の東側を巻いていくルートだ。今回は水場側を歩いた。

分岐を過ぎて水場まではとにかく道が荒れていて踏み跡を探すのがとても大変だった。 前回来た時よりもさらに荒れているように感じる。 赤テープで印はあるのだが、道が崩れて赤テープ通りに歩行できない個所もある。さらにアイゼンを装着するほどではない程度に雪が乗っており非常に具合が悪い。日が当たっている個所は雪が解けぬかるんでいるので、スリップしないように気を付けて歩いた。

水場付近からは、岩の上に載った水が凍っているのでアイゼンを装着した。ここからは主尾根の向けて登りが始まる。ここの登りは結構長く感じた。

登りきると三ッ坊ルートと出会う。そこから傾山までには二つピークがあり、そこを超えていく。ピーク間の鞍部を通過するときは緊張感が高まる。転倒・転落となればその先は断崖絶壁を落下するだけだからである。 さらに鞍部への下りは日当たりがいい為、完全に雪はなくなっていた。地面では朝方成長していたであろう霜柱もそこだけ完全に溶けていたのでかなりグズグズであった。 非常にたちが悪い。

傾山山頂は日当たりがよく、雪はほとんど融けていたが、九折越方面を見ると、北側の斜面には雪や霧氷が残っている。この日は天気が良かったので山頂に上がるころに氷は融け切っているだろうなあと思っていたが、冬らしい景色が見れたので満足した。

この区間は所要時間を見てもわかる通りかなり時間がかかった。とにかく登山道が荒れており、踏み跡も不明瞭な為どうしてもルートファインディングに時間を要してしまうことが要因として大きい。足場も悪いので動きも慎重になる。しかし、コースタイムとこれだけ乖離があるのはおかしいと思い調べてみると、他の地図ではコースタイム2時間50分というものもあった。 今回参考にしたコースタイムは2017年の「山と高原地図」記載のものだ。 参考コースタイムを調べる際は複数の情報源から確認するべきだと思った。

傾山山頂~九折越~林道出会

所要時間2・10(CT2・10)

山頂でもうすこしゆっくりしたかったがすでに13時を過ぎているので、数枚写真を撮って下山を開始した。

相変わらず日当たりの良いところの路面状態はグズグズして悪く、スリップしないように慎重に通過する。この時すでにアイゼンは外していたが、山頂より隣のピークに移るところであやしい岩場があったので、再度アイゼンをつけて通過した。

その後尾根を下っていくと次第に傾斜もゆるくなるのでだいぶ歩きやすくなる。一時間ほど下れば九折越に出る。九折越は傾山と笠松山の鞍部にあたる場所で、開けていて気持ちの良いところである。

九折越から林道の出会までは特段危険な個所もないので、安心して歩いて行ける。ここまできてだいぶ足に疲れが出てきた。国土地理院の地図上には林道の記載がないが、860メートル付近で現れる。

この区間は特に慎重を要する個所も少なかったので、コースタイム通りで通過できた。

林道出会~九折登山口

所要時間2・05(CT1・35)

林道までの下りで結構脚に疲れがたまったので、少しザックを下ろして休憩した。チョコレートを食べて水分を補給して、再びザックを背負う。

林道からの尾根下りはなかなか傾斜がきつく、両側の谷も深いので気を付けて降りていく。この尾根は地面が濡れていたので思うように行程がはかどらなかった。この時点で一六時前、すでに太陽は隣の尾根の向こうに隠れてしまっている。

尾根を降りきると沢に出会う。この沢は国土地理院の地図には記載がない。沢に降りたらまず左岸に渡渉する。そして少し下流に降ったあと再び右岸に戻り、少し右岸を進んだらまた左岸に移る。増水時は注意が必要だ。

この後は沢・谷に沿って登山道が続いていく。谷も深く、傾斜がきつい箇所を横切ったりもするので最後まで全く気を抜けない。時間が少々心配ではあったが、日の入りまで多少余裕が持てたので焦らずに進んだ。最後に朝方通った歩道に出会うので、あとは来た道を登山口まで下る。

この区間はかなり疲れが出ていたので、とにかく転倒しないよう慎重に進むことを心掛けた。脚がつかれていると思うように脚が上がらなかったりするので、つまづいたり転倒するリスクが高まるためだ。時間はかかるが転倒して怪我をするよりかましである。しかし気が抜けない個所が多く疲れた。

感想

涼しかろうが傾山はハードであった。

涼しくて動きやすい時期であれば、もう少し楽に登れるかと思っていたが完全に予想が外れた。とにかくハードであった。※ザックが前回の倍重たかったこともあるが。

登山道は荒れていて滑りやすく(前回来た時よりも荒れている気がする)、雪が中途半端に乗っていた分歩きづらかった。特に三ッ尾から先の分岐後の水場側は道の荒れ方がひどく、ルートも見つけづらい為かなり時間を要してしまった。今回は二月だったので日帰りで行程を終えることができたが、一月あたりだと日帰りだと厳しいと思う。

しかしながら、傾山はいつ見てもかっこいい山である。山頂から見る景色もよいが、九折越方面に少し降ったあたりから見る傾山が一番好きだ(今回時間がなく写真を撮れなかった)。

今度は九折越で一泊して、のんびり景色を楽しんだり、写真を撮れたらいいなと思う。


傾山(かたむきやま、かたむきさん)は、大分県宮崎県の県境にある祖母傾山系の山。山頂は大分県豊後大野市に位置し、標高1,605m[1]祖母傾国定公園に指定されている。
山頂は3つの岩峰からなり、南から後傾・本傾・前傾と呼ばれる。
大分県豊後大野市、佐伯市宮崎県西臼杵郡日之影町等からの登山ルートがある。
また、伝承「吉作落とし」の舞台でもある。

豊後大野市緒方町徳田より望む傾山
山頂部が傾いて見える
日本三百名山及び大分百山に選ばれている。


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
※記事に記載してある登山情報は一個人の経験及び記録、記憶がもとになっております。
登山においては個人の体力・技量・気象条件等によって登山にかかる労力はそれぞれ変わってきます。当サイトにおける登山情報はあくまで参考程度とどめるようお願いします。
傾山
傾山山頂より九折方面

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